6 ERASだったら…


何か失敗をしたら大抵の人は、そのミスを二度と繰り返さないようにする。失敗をバネに、次は是が非でも成功に繋げようと意気込むタイプの人もいるだろう。けれども悲しいかな、世の中には次に生かしようのない失敗というものが存在する。たとえばこんな具合に。


先日、B'z5週連続で無観客ライブを配信していた。私は友人の提案で、そのライブをカラオケパセラで視聴することにした。カラオケチェーンの中でもパセラは特に設備が充実しており、パソコンで再生している映像を大画面に映しながら最新鋭の音響設備で楽しむことができるのだという。もちろん部屋にはWi-Fi環境も整っている。配信ライブを見るのにこれ以上の場所はないと思われた。


5回のライブのうち4回は池袋のパセラで見た。最初は果たして本当にパソコンとモニターを接続できるのかとか、途中でサーバーがパンクしてしまわないかとか、いろいろと気を揉んだ。しかし、そんな心配はすべて杞憂に終わった。いざパソコンとモニターが繋がれば、パソコンの映像は滞りなくモニターに映し出された。私たちは安堵し、その安堵はすぐにライブの興奮へと変わった。


ところが、最後の最後に落とし穴が口を開けて私たちを待ち構えていた。5週連続ライブの最終日、私たちはお互いの仕事がどうしても片付かず、池袋に集まるのが難しい状況に置かれた。そこで私たちは妥協案として、パセラ銀座店を最終日の"ライブ会場"に選んだ。そしてこの決断が悲劇を招くことになる。


異変はすぐに起こった。パセラ銀座店のWi-Fi日本シリーズ讀賣ジャイアンツよりも弱かった。その弱さたるや配信動画の再生どころか、webサイトへのアクセスも覚束ないほどである。苦肉の策として私のiphoneを使ってデザリングを試してみたところ何とか配信ページにはたどり着いたのだが、それでも電波はお世辞にも良いとはいえず、何度か配信が途切れてしまった。加えて、その日は月末だったこともあり、ライブ中にiphone通信制限がかかってしまうのではないかと気が気でなかったことばかりが記憶に残っている。


こうなった理由は単純明快。パセラ銀座店には地下の部屋しか存在しなかったためである。池袋店ではビルの6階や8階の部屋を利用していたため、通信環境は申し分なかった。しかし地下とあっては、同様の通信速度は望めない。かくして私たちの5週連続ライブはすっきりしない結末を迎えることになった。6週目のライブは、もちろんない。


このように、次に生かしようのない失敗というのは辛い。もっと詳しく言い換えるなら、失敗が失敗のままで終わるのが辛いのである。このブログを読んだ人にだけでも、パセラ銀座店はライブ配信の視聴には適さないと伝われば幸いである。尤もその前に、新型コロナウィルスの一刻も早い収束を願わなければ